島根・広島「バイク神社3社参り」
男には、突き動かされるように走らなければならない時がある。
今回の旅の目的は、新たに島根県浜田市周布(すふ)の道の駅に誕生したバイク神社への参拝。せっかくならと、近隣の金城(かなぎ)、そして国境を越えた広島県安芸太田町加計(かけ)にあるバイク神社を巡る「バイク神社・3社参りグランドツーリング」を敢行した。
それは、ドラマチックな天候の変化と、大自然の洗礼、そしてバイク乗り特有の「あの感覚」に満たされた、極上の2日間となった。
◆ 第一幕:土曜日の快晴と、加計の「洗礼」
土曜日の昼下がり、空はどこまでも突き抜けるような快晴。絶好のツーリング日和の中、まずは広島の加計にあるバイク神社を目指してスロットルを開いた。
しかし、旅にはハプニングが付き物だ。加計へと向かうルートの途中、行く手を阻んだのは「お世辞にも良いとは言えない悪路」、そしてナビすらも惑わす迷宮の如き道。荒れた路面に神経を研ぎ澄ませ、五感をフルに使ってマシンをコントロールする。迷い、悩み、それでも前へ進む。
苦労の末に辿り着いた加計の神社で、愛車と共に無事の参拝を終えた時、その達成感はひとしおだった。快晴の空の下、トラブルすらも旅のスパイスに変えてしまうのが、バイク旅の醍醐味なのだ。

◆ 第二幕:日曜日の日常、そして「背徳のグルメ」
明けて日曜日。朝一番は、現実の生活が待っている。自治会の溝掃除という地域の大切な任務をきっちりとこなす。しかし、任務完了後、どんよりとした空を眺めながらジッとしているのは、どうにも気分が乗らない。
「よし、行こう」
小雨がパラつく不穏な空模様。しかし、一度火がついたライダーの魂は止められない。今度は旭町を経由し、残る2社を目指すステップへと移る。
どんよりとした曇天の中、旭町を駆け抜ける。ふと立ち寄ったコンビニで、私はある「禁断の決断」を下した。現在、絶賛ダイエット中の身。しかし、冷えた身体とツーリングの高揚感が、私に引き金を引かせた。
選んだのは、久しぶりのカップ麺。
お湯を注ぎ、数分待ってすするスープ。……美味い。美味すぎる。五臓六腑に染み渡るとはこのことか。大自然の中で食すそれは、どんな高級料亭の料理をも凌駕する、贅沢で背徳的なエネルギーとなった。
◆ 第三幕:個性の競演、そして訪れる「多幸感」
ここから旅はクライマックスへと向かう。残る2つの神社は、それぞれが全く異なる強烈な個性を持っていた。
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金城のバイク神社: 細い山道を登り詰めた「山頂」に鎮座する、まさに天空の社。眼下に広がる山々の稜線を眺めながら、静かに旅の安全を祈る。

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周布のバイク神社: 一転して、こちらは潮風が心地よい「海沿い」の社。道の駅に新設されたばかりの真新しい息吹を感じつつ、波の音をバックに愛車を佇ませる。

山頂から海沿いへ。このダイナミックなロケーションの対比(コントラスト)こそが、今回の3社参りを唯一無二のエンターテインメントに仕立て上げてくれた。
◆ エピローグ:バイクがもたらす、奇跡の脳内物質
土曜日は目の覚めるような快晴、日曜日は重苦しい曇天。決して完璧なコンディションの2日間ではなかったかもしれない。
しかし、走り終えた今、胸にあるのは強烈な「楽しかった」という余韻だけだ。
バイクに乗っていると、時折、理屈を超えた不思議な「多幸感(ユーフォリア)」に包まれる瞬間がある。エンジンの鼓動と一体になり、風を切り、流れる景色の一部になる時、日々の雑音は消え去り、ただただ「生きている喜び」だけが脳内を満たしていく。
溝掃除の疲れも、悪路の苦労も、すべてはその多幸感のプロローグに過ぎなかったのだ。
3つの神社に守られ、私のバイクライフはまた一歩、深みを増した。次はどの風に吹かれに行こうか。
(完)

